【書評】『凡人の戦略 暗躍する仕事術』─「諦める」ことで見えてくる、自分の仕事の居場所
「好きなことを仕事にしよう」
「やりたいことを見つけよう」
そんな言葉に、どこか息苦しさを感じたことはないでしょうか。
佐藤光春さんの『凡人の戦略 暗躍する仕事術』は、
夢や情熱を煽る自己啓発書とは少し違います。
この本が語るのは、才能と向き不向きを冷静に見極め、諦めることで自分の立ち位置をつくる仕事術です。
派手な成功論はありません。
あるのは、凡人だからこそ選び取ることができる「現実的で、長く続く戦い方」です。
向き不向きという、どうしても越えられない壁
努力すれば何でもできる。
本当にそうでしょうか。
著者は、身長や容姿のように目に見えるものだけでなく、
目に見えない「向き不向き」や「生まれ持った何か」は確実に存在すると語ります。
・好きだけど、どうしても結果が出ない
・頑張っても才能が追いつかない
・周囲と比べて明らかな差を感じる
そんな現実にぶつかったとき、無理に抗うのではなく、
一度ちゃんと絶望し、諦めることが大切だとこの本は教えてくれます。
諦めることは逃げではなく、
自分の実力と向き合った先にある選択なのです。
消去法で生きるという戦略
著者がたどり着いた仕事の選び方は、とてもシンプルです。
無限にある可能性から選ぶのではなく、
できること・続けられることから消去法で選ぶ。
「夢だったから芸人になった」のではなく、
「他に選択肢がなかったから芸人になった」
この感覚が、むしろリアルで誠実に響きます。
・やりたいことがわからない
・向いていることが見えない
そんなときこそ、
「何ができないか」「何が苦手か」を一つずつ削っていく。
残ったものが、今の自分の立ち位置なのかもしれません。
好きなことは、無理に見つけなくていい
この本は「好きなこと探し」にも距離を置きます。
好きなものは、
必死に探しに行かなくても、日常の中で勝手に流れ着いてくる。
・なんとなく続いていること
・気づいたら調べていること
・苦にならずに時間を使っていること
そうした小さな積み重ねの中に、
自分の「熱源」はひっそりと存在しているのだと思わされます。
評価・承認・お金との健全な距離感
仕事をしている以上、評価やお金は避けて通れません。
ただし、著者はこう言います。
- 他人の評価は操作できない
- 評価を目的にすると、仕事は歪む
- 全力で取り組むことと、評価は切り分ける
承認欲求の矢印を「他人」ではなく「自分」や「作品」に向ける。
最終的な価値判断の基準は、自分で握っておく。
このスタンスがあるからこそ、
暗躍するように仕事を積み重ね、信頼を得ていくことができるのだと感じました。
凡人だからこそ、希少性をつくれる
凡人であることは、弱みではありません。
・自分はどんな人間か
・何に熱を持てるのか
・その熱は、誰の役に立つのか
これを考え続け、アウトプットし続けることで、
少しずつ「あなたに頼みたい理由」が生まれていきます。
希少性は、特別な才能からではなく、
地道に続けた凡人の経験の偏りから生まれる。
この視点は、働き方に悩む多くの人の支えになるはずです。
まとめ:諦めた先に、自分らしい仕事が残る
『凡人の戦略 暗躍する仕事術』は、
「夢を叶える方法」を教える本ではありません。
それよりも、
- 何を諦めるか
- 諦めた部分をどうカバーするか
- どんな人と仕事をしたいか
そんな仕事を続けるための現実的な思考法を丁寧に言語化した一冊です。
今が最高に楽しくなくてもいい。
小さな日常を積み重ね、その中でたまに訪れる充実感を大切にする。
凡人として、静かに、したたかに働いていく。
そんな生き方に、そっと背中を押してくれる本でした。
著者について
佐藤光春(さとう みつはる)
芸人・作家・企画者として幅広く活動。
表に立つ仕事だけでなく、企画や構成、裏方的な立ち位置でも数多くの実績を重ねてきた。
「暗躍」という言葉に象徴されるように、派手さよりも信頼と積み重ねを重視した仕事観が特徴。
書籍情報
書名:凡人の戦略 暗躍する仕事術
著者:佐藤光春
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