【書評】『反応しない練習』|悩みが消えていくブッダの超・合理的な考え方
「どうしてこんなに悩んでしまうのだろう」
「感情に振り回されて疲れてしまう」
そんな人にこそ読んでほしい一冊が、草薙龍瞬さんの
**『反応しない練習 あらゆる悩みが消えていくブッダの超・合理的な「考え方」』**です。
本書の結論はとてもシンプルです。
悩みの正体は「出来事」ではなく「心の反応」そのもの。
そして、無駄な反応をしなければ、悩みは増えないという考え方です。
反応しないとは「我慢」ではない
本書でいう「反応しない」とは、感情を押し殺すことではありません。
- 怒りや不安が出てきても否定しない
- ただ「今、怒りがある」「不安がある」と理解する
- 悩みを増やすような反応を最初からしない
これが「反応しない練習」です。
戦っても勝てない現実に、無理に立ち向かう必要はありません。
反応しないことこそが、最大の合理性なのです。
ブッダの教えは、驚くほど合理的
仏教というと精神論に聞こえがちですが、本書で紹介されるブッダの教えは非常に論理的です。
四聖諦(ししょうたい)
- 生きることには苦しみが伴う
- 苦しみには原因がある
- 苦しみは取り除くことができる
- 苦しみを取り除く方法がある
これは、現代医学の「症状→原因→治療法」と同じ構造です。
まず現実を直視し、原因を理解し、対処する。
感情論ではなく、処方箋のような思考法が示されています。
悩みをなくそうとしない。「理解する」
本書では、悩みを無理に消そうとしません。
- 悩みがある
- 悩みには理由がある
- 悩みには解決策がある
この順番で理解していけば、どんな悩みも必ず整理できると説かれます。
「あるものは、ある」と認めること。
解決への希望は、そこから始まります。
心の状態を「見る」ことがすべての基本
マインドフルネスの実践
心の状態を見るために、本書では次の方法が紹介されています。
- 言葉で確認する(ラベリング)
「私は今、緊張している」「不安を感じている」 - 体の感覚に意識を向ける
呼吸、手足の感覚、歩くときの足裏の感触など
これらはすべて、今ここに意識を戻すための実践です。
三大煩悩を見分ける
心の中で起きていることは、大きく次の3つに分類できます。
- 貪欲:求めすぎる心
- 怒り:不満・不快・期待が裏切られた状態
- 妄想:実在しない未来や判断にとらわれること
大切なのは、なくすことではなく「気づくこと」。
理解できた瞬間に、反応は弱まります。
判断が、悩みを生む
人は無意識に「いい・悪い」「正しい・間違い」と判断しています。
しかし本書では、判断そのものが妄想であると指摘します。
- 判断は頭の中にしか存在しない
- 判断は承認欲を満たす快感を伴う
- だからこそ、やめられない
「正しいかどうか」よりも、
真実であり、有益かどうかを基準にする。
これがブッダの合理性です。
自分を否定しない生き方
本書で何度も繰り返される大切な言葉があります。
私は私を肯定する
自分を否定する判断には、何の合理性もありません。
苦しみを生むだけで、現実をよくすることはないからです。
自信を持とうとしなくていい。
比較しなくていい。
今できることを、淡々とやる。それだけでいい。
正しい判断の基準は「貢献しているかどうか」
本書を通して一貫しているのは、
「正しいか・間違っているか」ではなく、それは役に立っているかという視点です。
人はつい、
自分は正しいか
評価されているか
勝っているか
といった判断にとらわれがちです。
しかしブッダの合理的な考え方では、
判断の基準はそこではありません。
貢献することが基本
人間の根本的な動機は、「承認」ではなく貢献である。
本書では、そのように示されています。
- 誰かの役に立っているか
- 目の前の行動は、何かをよくしているか
この基準に立てば、
自分を大きく見せる必要も、他人と比べる必要もなくなります。
満たされなさを感じるときの考え方
もし、今の自分に満たされなさを感じているなら、
それは「自分が足りない」のではなく、
今の考え方が自分に合っていない可能性があります。
「評価されたい」「認められたい」という基準で生きている限り、
心はいつまでも渇いたままです。
そんなときは、こう考えてみる。
わたしには、違う役割があるのだな
競争の中で勝つ役割ではなく、
誰かを支える役割かもしれない。
静かに価値を積み重ねる役割かもしれない。
お役に立てれば、それでよし
ブッダの教えが示すゴールは、とても静かです。
- 勝たなくていい
- 目立たなくていい
- 正しくなくてもいい
お役に立てれば、それでよし。
そう考えられるようになったとき、
人は初めて、判断から自由になり、
納得できる人生を歩み始めるのだと感じました。
人間関係の悩みへの答え
人間関係の悩みは、次の2つに分けて考えます。
- 自分の感情の問題
- 相手との関わり方の問題
相手を変えようとせず、
反応しないことが最高の勝利だと本書は教えてくれます。
相手の反応は相手のもの。
自分の心は、自分で選ぶ。
人生の目的は「苦しみから自由になること」
ブッダが教えるのは、現実を変える方法ではありません。
現実は続いていきます。
それでも、
自分の中に苦しみを増やさない生き方は選べる。
外の世界に答えはなく、
心の使い方を整えることで、人生の納得度は大きく変わります。
まとめ|静かで強い一冊
『反応しない練習』は、
前向きに頑張れと背中を押す本ではありません。
むしろ、
力を抜いて、心をクリアにするための本です。
悩みや不安を抱えやすい人ほど、
人生のどこかで一度は読んでおきたい一冊だと感じました。
書籍・著者紹介
書籍名
『反応しない練習 あらゆる悩みが消えていくブッダの超・合理的な「考え方」』
著者
草薙 龍瞬(くさなぎ りゅうしゅん)
僧侶・仏教思想研究家。原始仏教をベースに、現代人にも実践しやすい形で仏教の智慧を伝えている。感情論に寄らない合理的な解説に定評がある。
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